弁護士・日弁連・裁判所と闘います エム’s blog

法律素人による本人訴訟や弁護士懲戒請求などの記録


⑯ 弁護士懲戒請求4 弁護士S(破産管財人として不当な業務行為)

4.鈴木周弁護士(第2東京弁護士会 平成28年(コ)第217号)


 判決で確定した損害賠償金の支払いを行わない債務者に対し、エムは平成28年2月22日に債権者破産を申し立てました(東京地裁民事20部)。この破産手続きに破産管財人として選任されたのは、第2東京弁護士会の鈴木周弁護士でした。

 破産管財人の鈴木周弁護士は、この破産が浪費によるものなのに、

  •  破産者から詳細なヒアリングをしておらず浪費額や収入額すらも把握していなかったのに、第1回債権者集会で免責意見書を提出するつもりだった。
  •  破産者の月100万円以上の「使途不明金」(浪費)について調査・報告しなかった。
  •  破産者の「虚偽申告による借入」について調査・報告しなかった。
  •  破産者は破産手続開始決定以降もクレジットカードを利用していた(免責前提)のに、転送されてきたクレジットカード利用明細書を確認せず、調査・報告しなかった。
  •  「破産者はもう浪費していないし反省している」「破産者は破産手続に協力的だった」として免責相当意見を出した。
  •  破産者の債務額を誤って裁判所に報告した。

など、破産管財人としての適正な業務を行いませんでした。このためエムは同年11月2日、第2東京弁護士会に鈴木周弁護士の懲戒請求を行いました。鈴木周弁護士の不当な管財業務行為(おもに免責調査)について具体的に説明します。

 

1. 東京地裁から破産管財人に選任された鈴木周弁護士は、平成28年5月23日に破産者からヒアリングを実施し、8月22日の「第1回債権者集会打合せメモ」で「第1回債権者集会で廃止の予定です」としました。つまり鈴木周弁護士は第1回債権者集会で免責意見を出すつもりでした。

 しかし、8月31日に開催された第1回債権者集会では、破産者が破産にいたるまでの借り入れの経緯や浪費額などについて説明はありませんでした。債権者として集会に出席していたエムは破産者の浪費額や浪費していた頃の収入などについて破産管財人の鈴木周に質問しましたが、鈴木周はそれらの重要な基本的な事項について把握しておらず何も説明することができませんでした。

 このため裁判所は詳細な調査を行うよう破産管財人の鈴木周に命じ、第2回目の債権者集会期日が予定されました(鈴木周は慌てふためいてました!)。そして11月2日の第2回債権者集会の際、鈴木周は「10月25日に破産者から詳細なヒアリングを行った」と説明しました。つまり「廃止予定」だった第1回債権者集会の前には、鈴木周は破産者から「詳細なヒアリング」を行っていませんでした。

 破産管財人が破産者から詳細なヒアリングを行わず、破産者の浪費額やそのときの収入すら把握しないまま免責意見を出すつもりだったなんて常識では考えられません。おそらく鈴木周弁護士は最初から「免責相当」の意見を出すつもりで、破産管財人として必要な業務(免責調査)を手抜きしようとしたのでしょう。(東京地裁民事20部ではほとんどの破産事件が免責になるからです。)

 

2. 裁判所からの指示により、破産管財人の鈴木周は破産者から詳細なヒアリングを行い、第2回債権者集会で「平成27年2月以降は、破産者の収入は月20~30万円で、浪費はほとんどなかった」旨を報告しました。

 しかし、消費者金融からの債権届出書や破産者の口座通帳の写しによれば、破産者は平成27年6月に(当時500万円以上の債務があり、収入が月20~30万円だったはずなのに)60万円以上の借り入れを行い、新規作成したクレジットカードで10万円以上の利用を行っていました。(届出された資料に目を通したなら一目同然です。また口座残高不足で同月の家賃を支払えなかったことも通帳写しから明らかです。)

 にもかかわらず、破産管財人の鈴木周は、同月の破産者の多額の借入やその使途について調査せず裁判所に報告しませんでした。このため、同月の破産者の借り入れが正確にはいくらだったのか、同月に破産者が何にいくら浪費したかは不明です。そして(そうではないことは明らかなのに)鈴木周は破産者が説明した通り「その時期、破産者はほとんど浪費していなかった」旨の虚偽を意見書に記載しました。

 のちにエムがその使途不明金(100万円程度)について鈴木周に質問したところ、鈴木周は「おそらく生活費なんでしょうね」とぬけぬけと答えました。使途不明金について破産者が「生活費に使った」とウソをつくのはよくあることですが、破産管財人が破産者の多額の使途不明金を「おそらく生活費なんでしょうね」と言うなんてありえません。鈴木周はその多額の使途不明金に気づいていて、それが浪費に使われたことも分かっていながら、あえて調査せず報告しなかったと疑わざるを得ません。

 

3. その浪費の月、破産者は楽天カードを新規作成しました。この契約時、破産者は「預貯金額100~199万円」と申告し(カード申込書の写しあり)、20万円のキャッシングを行いました。しかしこのとき、破産者の口座には実際には計5000円以下しかありませんでした(口座通帳の写しから明らか)。この虚偽申告による新規借入は「詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと」の免責不許可事由(破産法252条1項5号)になりうるものですが、破産管財人の鈴木周は(破産手続開始申立から1年以内の)この借入について何も報告しませんでした。

 破産管財人が、破産者の破産手続前の新規借入について調査せず、こんな明らかな虚偽申告を指摘しないなんてありえないことです。鈴木周は破産者の虚偽申告による借入に気づいていながら、故意にそれを報告しなかったと疑わざるを得ません。

 

4. この破産手続は、平成28年2月22日に破産手続開始申立、4月28日に破産手続開始決定が行われましたが、破産者は6月までクレジットカードの利用を続けていました。クレディセゾンから破産管財人に提出された報告書によれば、破産者のカード利用額は、平成28年3月11日から4月10日まで75,788円、4月11日から5月10日まで123,218円、5月11日から6月10日まで78,570円でした。そして、破産者の代理人弁護士Kは「破産者は破産手続開始申立の直前に仕事を辞め、収入がほとんどないため支払不能」と主張して5月20日に免責許可を申立てました。
 ふつうは破産になったら代理人弁護士は破産者にクレジットカードの利用をやめさせるものですが、K弁護士はそうしなかったため、破産者は破産手続開始後もクレジットカードを利用し続けました。そしてK弁護士は「破産者は、破産手続開始申立直前に仕事を辞めて収入がほとんどない」として裁量免責許可を申し立てました。

 もしそれが本当ならば、収入がほとんどなくて返済の目途がない(支払不能)のに破産者はクレジットカードを利用し続け、そしてそのクレジットカードの支払いも含めて免責許可を申し立てたことになります。これは当然、支払不能状態での免責前提のクレジットカード利用を疑わせるもので、詐欺罪を構成する可能性もある悪質なものです。

 破産手続が開始されると、破産者あての郵便物はすべて破産管財人に転送され、破産管財人は破産者の借入れや支払いなどについて厳しくチェックします。2弁の懲戒請求でエムが、破産手続開始決定後のクレジットカード利用について説明を求めたところ、鈴木周は「転送郵便物の中にUCの「請求書」が入っていた。この使途について破産者に聞いたところ、破産者は携帯電話利用料金だと答えた」と答弁しました。しかし、破産管財人の鈴木周のもとにはUCの「利用明細書」が転送されたはずです。鈴木周弁護士は転送されてきた利用明細書を確認しておらずその内容を説明できなかったため、「請求書が転送されてきた。破産者が電話利用料金だと言っていた」と誤魔化したのです。

 仕事を辞めて収入がほとんどないはずなのに月10万円前後の携帯料金? 鈴木周は、破産者が説明したそのウソくさい説明を客観的根拠なく受容し、「破産手続開始後の破産者のクレジットカード利用は携帯電話利用料金だと聞いている。携帯電話は生活上必要なものだからクレジットカードで支払っても問題ない。破産事件への影響は全くない」と懲戒請求の答弁で恥ずかしげもなく主張しました!

 確認しておきますが、鈴木周弁護士は破産管財人であって、破産者の代理人ではありません。公平公正であるべき破産管財人なのに、鈴木周弁護士は破産者の不当行為を積極的に(下手なこじつけで)擁護しました。

 

 破産手続開始申立後の「免責前提」のクレジットカード利用の可能性が高いのに、転送されてきた利用明細書を確認すらせず、破産者のウソくさい説明を鵜呑みにして「問題ない!」と主張するなんて、想像を絶する無茶苦茶な破産管財人です。でも、転送されてきた破産者のクレジットカード利用明細書を破産管財人が確認しなかったなんて、とても信じられることではありません。

 鈴木周は、実際には破産者のクレジットカード明細書を確認し、破産手続開始決定後の破産者のクレジットカード利用が浪費的なものであることを知りながら、あえてそれを報告せず、「携帯料金だった」と虚偽を主張して「それなら問題ない」とこじつけたのかもしれません。

 どちらにせよ、鈴木周弁護士の行為は、公正な管財や免責調査を行うべき厳正な破産管財人の任務に違背するはなはだ不当なものであることは間違いありません。

 

5. 上述した通り、破産者は、「平成27年2月以降はほとんど浪費しなかったと管財人にウソの説明をした」し、「破産申立の1年以内に虚偽申告により借入を行った」し、「支払不能状態だったのに免責を前提としてクレジットカードを利用した」のです。破産管財人がそれらのことに気づかなかったわけがないのに、鈴木周は「免責に関する意見書」でそれらのことに一切言及せず、破産者の説明通り「最近は浪費していない。破産者は反省している」、「手続に協力的だった」として「免責相当」としました。

 この破産者の債務形成は浪費によるものなので、裁量免責にするかどうかを決める上で破産管財人は破産者の浪費の推移や生活状況などについて詳しく調査し報告する必要があります。しかし鈴木周弁護士は、平成27年6月の破産者の100万円程度の使途不明金を調査せず、同月の虚偽申告による借入を調査せず、破産手続開始決定後の免責前提のクレジットカード利用について(転送されてきたクレジットカード利用明細書の確認すらもせず)調査しませんでした。

 破産者が浪費を続けていたこと、虚偽申告により借入を行ったこと、免責前提でクレジットカードを利用したこと、破産管財人にウソの説明をしたことは、裁量免責に当たって当然不利な事情です(一般に、破産者が虚偽の事実を申告した場合には裁量免責は認められにくいとされています)。鈴木周弁護士はそのことを(故意または過失により)看過して意見書に記載せず、破産者の明らかに虚偽の説明にもとづいて「免責相当」としました。

 

6. そして、破産管財人の鈴木周は、債務額計851万931円のところ、762万1060円と誤って裁判所に報告しました。本破産事件は債権者10名程度の争いのないシンプルなものだったのに、鈴木周は貸金業者1社の債権を単純に計上し忘れたり、家賃保証会社の(破産手続開始決定前の)代位弁済金を財団債権と考えた上で破産手続開始後の滞納賃料などと合わせ債務として報告していませんでした。

 鈴木周は懲戒請求の答弁で、「裁判官が正しい債務額を記載したため裁判所の決定には影響しなかったのだから問題はない」などと主張しました。しかし、鈴木周弁護士の債権計上の単純ミスおよび債務についての理解不足によるミスは、平均的な破産管財人の注意義務を果たしておらず、弁護士としての資質を疑わせるものであることは間違いありません。

 

 

 この懲戒請求は、平成29年10月16日に第二東京弁護士会綱紀委員会第2部会(部会長櫻井光政)により議決が出ました。綱紀委員会の判断は、鈴木周弁護士の言い訳をそのまま採用し、

1.鈴木周は第1回債権者集会で「免責に関する意見書」を提出しなかったのだから、必要な免責調査をせずに「免責に関する意見書」を提出しようとした事実はない。

2.鈴木周は破産者から2回のヒアリング及び破産者代理人への確認等を行っていて、結果的に免責になったのだから、免責に関して必要な調査を行っている。
(ちなみに、裁量免責にするかどうかについて、裁判所は管財人の意見を尊重する決まりです。)

3.鈴木周が債務金額を誤ったのは事務的なミスで、決定に影響を与えていないから問題ない

として、具体的な事実については評価せずに、鈴木周弁護士の行為は「弁護士としての品位を害する行為とまでは認定できない」としました。

  破産管財人弁護士が詳しい調査をしないで、破産者のウソばればれの説明を鵜呑みにして意見書を出しても「弁護士の品位を害さない」? 不当な免責相当意見でも結果的に免責になったのだから「必要な調査は行った」?

 そして2弁綱紀委員会の議決書は、エムが書面ではっきりと主張していた「破産者が虚偽申告によりクレジットカードを契約しキャッシングしたことを鈴木周が裁判所に報告しなかった」事実について(鈴木周は何も弁明しなかったのに)まったく記載せずに無視しました。「対象弁護士の言い訳できない非行事実は無視して、認定・評価しない」という綱紀委員会のお約束です。

 こうして、第2東京弁護士会の綱紀委員会(部会長櫻井光政)は適切な認定・評価を行わずに、対象弁護士の説明を鵜呑みにして「懲戒不相当」の議決を行いました。公正であるべき綱紀委員会がこのような不正な議決を行うならば、公正であるべき破産管財人が不正な業務を行っても懲戒相当とすることなんてできるわけもありませんね。

 

 エムは、日弁連への異議申出や綱紀審査会への申出でそれらのことを主張しましたが、日弁連の綱紀委員会の議決書は「原議決書の認定と判断に誤りはなく、同弁護士会の決定は相当である」、綱紀審査会の議決書も「第二東京弁護士会綱紀委員会第2部会及び日本弁護士連合会綱紀委員会第1部会の認定及び判断に誤りはなく、同弁護士会及び同連合会の決定は相当である」とだけの手抜きな理由で請求を棄却し、鈴木周弁護士の不当業務行為はウヤムヤにされました。

 鈴木周弁護士の行った破産管財人業務は、破産管財人としての善管注意義務違反(破産法85条)というだけでなく、その公平性において特別背任(破産法267条)に該当する可能性もある極めて悪質なものです。にもかかわらず、第2東京弁護士会綱紀委員会の議決は、対象弁護士の表面的な言い訳をそのまま認容し、否定できない非行事実は無視するというお決まりのやり方で非行弁護士を積極的に擁護するもので、日弁連綱紀委員会や綱紀審査会もそれを追認しただけでした。

 弁護士の低レベル化・悪質化が進む現状で、弁護士自治の理念はまったく実現されておらず、逆にそれは、弁護士の非行を正当化する隠れ蓑の意味しかありませんでした。

 

↓ この不当な破産管財業務に対し訴訟を提起しました

 

↓ エムが行った弁護士懲戒請求のいくつか

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